番外5.主鏡センターマークの付け方 ↑目次 次へ→
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 ニュートン反射鏡筒の光軸調整は、主鏡にセンターマークが有るのと無いのとでは、調整の手間や難易度が全然違います。初心者用のニュートン鏡筒ではこのセンターマークが付いていない事がよくあります。
 主鏡にセンターマークが無い鏡筒は、以下の(2種類の)方法でセンターマークを自分で付ける事ができます。センターマークは望遠鏡を星に向けている時は斜鏡の影になるので、見え方に影響はありません。
 センターマークに使う「◎」の形のドーナツシールは、文具屋などに売っている、パンチ穴を補強するシール(透明ではなく白で、紙ではなく水に強い樹脂のタイプ)です。ダイソーにも売ってます。
※一部の斜鏡オフセット鏡筒(ビクセンR200SSなど)ではこの方法でセンターマークを付けても正確な光軸調整はできませんので注意して下さい。カタディオプトリック系の反射鏡筒でも(当然)できません。

 主鏡は非常にデリケートですので、「シールの貼りなおしは出来ない」という心づもりで作業してて下さい。(できない訳ではないですが、剥がそうとする時に傷を入れやすいです。)鏡に物差しなどで「橋」をかけて、表面に傷を付けないように先の丸いピンセットなど使うと作業しやすいです。

方法1.実物大の型紙を使う
一般的によく用いられてる(と思う)方法です。
〜用意するもの〜
・ドーナツシール
・主鏡より大きい紙
・コンパス
・水性ペン
・レンズクリーニング液とクリーニングペーパーもしくは綿棒


1.主鏡の正確な直径を計って、コンパスで紙に同じ大きさの円を描きます。コンパスが届かない時は、「方法2」でやってみて下さい。


2.円の正確な中心に穴を開け、紙は円ぎりぎりで四隅を切り揃えます。


3.紙を慎重に主鏡に合わせます


4.円の中心に開けた穴から、真っ直ぐ垂直に水性ペンで主鏡に印を付けます。


5.主鏡に傷をつけない様に、ペンの印に合わせてドーナツシールを貼ります。


6.印をクリーニング液で拭き取って、センターマーク作業は完成です。


方法2.直角定規と糸を使う
筆者が主に用いている方法です。
〜用意するもの〜
・ドーナツシール
・主鏡より大きい直角定規
・糸とセロテープ
・鉛筆と水性ペン
・レンズクリーニング液とクリーニングペーパーもしくは綿棒


1.主鏡を外します。「図が凹面鏡に見えない」というツッコミはせずに、「これは凹面鏡なんだ」と思い込んで下さい。


2.直角定規で鏡の上に直角三角形を作り、鏡の側面に第1の鋭角部分のマークを鉛筆で付けます。直角三角形であれば形は特に問いません。(失敗が少ないのは直角二等辺三角形に近い形です)


3.直角定規で鏡の上に別の直角三角形を作り、鏡の側面に第2の鋭角部分のマークを付けます。


4.直角定規で鏡の上に更に(検証用の)別の直角三角形を作り、鏡の側面に第3の鋭角部分のマークを付けます。


5.3つの三角形を同時に再現すると、こうなります。「円に内接する直角三角形の長辺は必ず円の中心を通る」という定理により、こうなります。


6.鏡の側面に付けた第1から第3の各マークを糸で結んでセロテープで留めると、こういう風になります。3本が1点で交わらない時は、どれかの三角形がずれているという事なので、もう一度[2]からやり直します。


7.糸の交点が円の中心になるので、ここに水性ペンで印を付けます。


8.糸を外します。


9.印に合わせて、主鏡に傷を付けない様にドーナツシールを貼ります。


10.印をクリーニング液で拭き取って、センターマーク作業は完成です。


 レーザーコリメータがあると夜間でも素早く作業できますが、無い場合や光軸調整アイピースを使う時は、まずドローチューブから覗いて、斜鏡の中心にセンターマークが見える様に斜鏡を調整します。
 次にセンターマークの中に自分の目、あるいは光軸調整アイピースのクロスマークが見える様に主鏡を調整します。
 これで、ほぼ光軸は合いました。あとは、倍率をやや高めにして、実際に明るい恒星に真っ直ぐ向けて、きっちりとピントが合っている状態の「前後」のピンボケした星の像(焦点内外像)がどちらも綺麗な円になっていればOKです。焦点内外像が縦長/横長の楕円になる場合は、まだズレています。(内側のピンボケが縦長楕円だと、外側のピンボケは横長になったりします。)


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